Yangonow Slogan

第1回 KDDIミャンマー 社長 増田正彦さん

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――いつからヤンゴンに赴任されたのですか?

今年(2013年)1月の終わりに会社設立のライセンスを取り、日本人2人でスタートしました。どんどん人数を増やして、今はKDDI出向者の日本人が4人、ミャンマー人が12人の計16人となりました。今後、ますます増やして、お客様に更に良いサービスを届けたいと思っています。

 

――簡単なご経歴と、ミャンマーに来られた経緯を教えてください。

ミャンマーに来る前は、香港(現地法人)に3年いました。それ以前の日本ではずっと、通信モジュールを利用したソリューションの業務を担当していました。問題解決や提案型の営業ですね。携帯電話のデータ通信機能だけをモジュール化した製品を独自で開発し、車の走行データや燃費情報などを収集し、ナビと連携させて安全運転に役立てるとか。セキュリティのサービスで使って、無断進入時に警備員が駆けつけるとか。機械に通信機能を取り付けて世の中のしくみを変えるという仕事をやっていたんですが、それを中国でやりたくて「海外に行きたい」と言った時に送り出されたのが、香港です。

中国展開を3年間やり、また「ちょっと違うチャレンジをほかの国でやりたいな」と思ったときにミャンマー赴任の話があり、「お前が行け」ということになりました。それを言われたのが、(2012年)12月の終わりです。その前の年の8月に一度、短期出張でミャンマーに来たことがあり、その際にとても良い国だなと思っていました。穏やかで、きれいで、人柄もみんないいし、その上、これからのビジネスがあると思いましたので、「行くか?」と言われたときに「行きます」と即返事をし、即赴任した、というのが経緯です。

 

――ミャンマーの一番の魅力はどこでしょうか?

やっぱり人でしょうか。ただ、お金持ちには悪い人がいる、というのはよく聞きますけど(笑)。当社のメンバーもそうですが、若い人たちはすごくまじめだし、正直だし、勤勉だし、仲間を大事にする、そういうところがとても良いと思います。ただその反面、みんな「イエス」と言って(仕事を)引き受けちゃう。それで、なかなか仕事が進んでいないことがありますけどね。でも人の素の部分が非常に良いので、わたしはミャンマー人が好きです。とても素朴で、おせっかいなくらいいろいろやってくれるじゃないですか。あれがたまらないですね(笑い)。

それが一人のおせっかいじゃなくて、例えばアパートメントで重い荷物を持ってスーツケースを2つくらい持ってエレベーターに来ると、まず警備員が運んでくれます。それをエレベーターに乗せると、今度は一緒にエレベーターに乗っている作業員に「お前、手伝ってやれ」とか言って、また(その作業員が)自分が下りるときに荷物を部屋まで運んでくれる。あれはなかなかできないと思います。そういうところが素直で素朴ですよね。

 

――それでは、ミャンマーの課題点は?

通信・インターネット、インフラがまだまだですね。インターネットがすごく遅い。日本人的にいうと、イライラするくらい遅い。ただ、みなさんは何か代替手段が無いのか?という所で悩み続けている。そういう所が、我々にとってビジネス・チャンスがあると思っています。あとは電気。生活していて、停電をこんなに味わうと思っていなかったんですけど。生活も不便なるし、夜はいいけど朝に停電になると大変じゃないですか、カミさんなんかパニックですよ(笑)。そういう観点で言えば、停電と通信を合わせて改善できるのがビジネス・チャンスですよね。でも、道路の渋滞は勘弁してほしいですよね。

 

――ヤンゴンにはコンピュータ大学を卒業したものの仕事がない、という若者も多いですが、貴社のスタッフは即戦力になっていますか。

いまのメンバーは、みんな即戦力ですね。卒業したばかりの新人が1人いますが、一から教えて育てる、という楽しみもあります。即戦力(のスタッフ)は、スキルを鍛えてもっと生かして、という楽しみと両方あります。、新人はだいたい20代半ばくらいから上は35~36歳くらいのスタッフがいます。

 

――もともとITの知識もあり、日本語もできるスタッフを採用したのですか?

日本語が話せるスタッフは3名います。レンタル・オフィス(ビジネスセンター)ではITスキルはあまり必要でなく、日本的なおもてなしとか気遣いができる人が必要です。わたしが不思議だなと思うのは、(ミャンマーの日本語クラスでは)日本語を教えるだけじゃなくて、日本の文化みたいなものも一緒に教えてくれているんじゃないかな、と思う。だから細かい気遣いができて、日本人に近い感じがしますね。お客様からの評判も上々です。

それと、別の仕事をバリバリやっていた、日本語を話せる女性スタッフが入社してきて、いまITを勉強しながら一生懸命やっていています。いま営業をやらせているんですが、とてもハキハキしていて仕事の進め方がうまいので、これからITを勉強しても大丈夫ですね。

 

――ミャンマー人は勉強熱心で、語学習得能力も高いと言われますね。

社会人になるまでに日本語学習に触れている人が思いのほか多いですね。こちらが「ただいま」とか「さようなら」とミャンマー語で言って、向こうが「おはようございます」とか「お疲れ様でした」と、一生懸命日本語で話そうとしてくれます。そういう意味では面白いですよね。過去いろんな勉強をしているんだな、という感じがします。そして、英語はみんなうまいですよね。(語学の)覚え方のコツがあるんでしょうね。

――増田社長ご自身は、ミャンマー語は話せますか?

わたしもミャンマー語を週二回、朝、オフィスに来て、1時間習っています。いつもは帰りも遅いし、それぐらいしかできないですよね。ミャンマー語は面白いけど、書くのが難しいですね。最初はカタカナ暗記です。やる以上は読み書きまでいきたいんですけど、いまは(話し)言葉だけにしています。

 

――ミャンマー人スタッフの印象は、香港時代のスタッフと比べてどうですか。よくトップダウン型とか、「報・連・相」ができない、と言われますが。

香港では、わりと自己主義というか、自分で勝手に(仕事を)バンバンやってしまうところがありますが、こちらのスタッフは指示待ちみたいなところがありますね。それで、放っておくと仕事があまり進んでいないので、時々こちらがチェックしないとなりません。

「報・連・相」は、やはりそういう場を持ってしゃべらせたり、チェックしないとダメですね。朝礼をしていますが、毎日1人ずつ今日の予定をスピーチさせています。これからスタッフもっと増やしていくと大変だと思いますけど、できるだけ話は聞きたいと思っています。

 

――オフの過ごし方は?

オフの日は、日本からのお客様や日本人商工会の方とかとゴルフをしています。ただ、土・日は午前中にゴルフ行ってから午後は会社に行って仕事をしているので、観光とか家族と過ごす時間があまり持てません。家族帯同ですが、一日中じっくりと相手はできていないですね。

 

――貴社の事業「ビジネスセンター」と「ICTソリューション」について、簡単にご説明ください。

ヤンゴン事務所は、海外での100拠点目です。KDDIではレンタル・オフィス(ビジネスセンター)というものを事業として行うのは、ミャンマーが初です。

(オフィスビルの)家賃が高いとか、インターネットが使いにくいとか、停電するとか、そういう環境のビジネス・チャンスを活かし、お客さまが会社事業免許を取られるときに一度ビジネスセンターを使っていただく。その後、引越しの際にはIT環境をKDDIで整えていただきたい、という二段構えです。最初にちゃんといい会社だという風に見ていただかないと次はないので、努力をしながらやっていますね。

ビジネスセンターは、いま25部屋あります。インターネットは、一企業としてはヤンゴンで最も大容量だと思うんですけど、(ヤンゴンでは)障害が多いので、回線を2本引いて、1本が切れたときにもう片方(の回線)をちゃんとお客様が使えるように、冗長化をしています。

それから停電対策についても、日本製ジェネレーターを用意して、われわれのオフィスとレンタル・オフィス向けに提供しています。停電になると電気しか付かない、ということがあったりしますが、インターネットもPCもエアコンも電話も、全部動くようにしています。

それからお客様が、ウイルスも含めPCで困ったときにITのサポートができる(ICTソリューション)、という活用になると思います。PCは、24時間365日アクセスできます。

ビジネスセンターの受付カウンター。

ビジネスセンターの受付カウンター。

 

――具体的には、どんなサポートをしているのですか?

日本語の話せるミャンマー人女性スタッフがサポートをしています。たとえば、(今いるオフィスビルは)家賃が高いから出たいとか、新しいビルに入るときに、こちらがIT環境を用意するケースは内装・コピー機・机・イスなどをオールインワンで請けたりすることもあります。そしてインターネットを引いて、いろんなサポートをする。本当にお客さまの要望で、どんなことでもしますね。テレビ会議システムもあるので、会議室とセットで貸し出しもしたりしています。

日本と比較すると、ヤンゴンはすごく遅れているというイメージがありますが、こういうものを整備して終わり、ではなくて、ゆくゆくは日本と同じようなサービスを実現したいな、というのがわれわれの夢ですね。

 

ビジネスセンター708号室。

ビジネスセンター708号室。

ビジネスセンター6階の廊下部分。

ビジネスセンター6階の廊下部分。

――他社にない、貴社のサービスの付加価値は何ですか?

弊社は不動産屋ではないので、やはり電力を含むITインフラですね。いろいろな障害があると思いますが、インターネットであるとか電力であるとか、お客さまがノンストップでビジネスをできるような最大限のインフラを提供したい、ということです。もう、こだわり過ぎ、というくらいにこだわっています。

 

――今後、重点を置きたい事業は? まずはレンタル・オフィスでしょうか?

(ヤンゴンに)お客さまが出張で来てみて、「まずはどこか(事務所)に入ってから、ICTソリューションをやればいいかな」と思っていたんです。ITはそんなに需要はないだろうな、と。実は、開けてみたらIT整備のニーズばかりで…。冒頭の話になりますけど、ヤンゴンではお客様に対してきっちりとITサポートをできていなかったんですね。そこを今、いろいろ構築させてもらっているんです。ですから、「まずレンタル・オフィスで、それからIT」ではなくて、お客さんによって分け、両方を一緒にやっています。

将来的なビジネスに関しては、いろいろ考えていることはありますが、まだ発表は出来ないので「乞う、ご期待を」というところでしょうか。通信で、今までにないような取り組みをやりたいと思っています。

 

――貴社の今後の展望を教えてください。

われわれは(ミャンマー国内での)モバイル・ライセンスの入札も落ちてしまいましたし、(日本企業による)空港建設の入札もあまりいい結果が得られなかった。そういう中で、わたしたちが本当にビジネスをするためには、やっぱり日本の皆さんに安心してミャンマーに進出して欲しいわけですよ。ヤンゴンには、いろんなサポートできるような日系会社さんがたくさんあるわけです。とにかく先に来たわれわれが頑張って、日本の皆さんが(ヤンゴンに)来る土台を作る、というのが一つ。そして、来てもらったときにはちゃんとフォローできるものにしたいな、と。本当に「安心して来てください」、というのがメッセージですね。

いろいろ問題はあり、全部が自分ひとりでは絶対に解決できないですけど、それぞれの会社が自分のパートで、日本から来られる皆さんをサポートできるようなものを作っていけば、しっかりとした良いものができると思うんですよね。

 

――最後に、ミャンマーはこれからどうなっていくと思いますか。

私はほかの国にも赴任しましたが、ミャンマーの風景は日本人にとって、すごくなじみがある風景ですよね。子供のときのような。近年、東南アジアはものすごい勢いで発展している。そうして見ると、ミャンマーは他の国に比べ30年くらい遅れていますよね。なんとか早く、キャッチアップできるようなインフラを作ってほしいですね。

2015年に総選挙がありますが、その結果によってだれが国のトップになるかで、都市計画とか、銀行とか、保険とか、いろんなものが決まってくるでしょうね。都市計画の過程で鉄道が出来て、高速道路が出来て。ただそれらが決まるのが2015年、私見ですが。そう考えるとまだまだ時間がかかるなあ、と思います(笑)。

 

★インタビューを終えて★

とても気さくな増田社長。お話の端々から、スタッフに対する愛情や、ミャンマーという国へのリスペクトが強く感じられました。

まだ仕事がお忙しくて観光する余裕はなく、シュエダゴンもまだ遠くから見ているとのこと。なかなか時間が合わないものの、最初に行くのは家族と行きたいと思っているので取ってあるそうです。

(インタビュー日:8月29日)

 
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